メンタル・ストレス対策

なぜ休んでも疲れが取れない?原因は「自律神経の乱れ」と「お腹の不調」かも【医師解説】

疲労回復のカギは自律神経!専門医が教える「疲れが取れない」の解決策

眠っても疲労困憊…もしかして自律神経の乱れ?

「しっかり寝たはずなのに、なぜか疲れが取れない…」
「仕事中は集中できるのに、家ではぐったりしてONとOFFの切り替えがうまくいかない…」
「ストレスを感じやすいと、すぐにお腹の調子が悪くなる…」

もしかしたら、あなたもこのようなお悩みを抱えているのではないでしょうか。多くの患者さんがそうであるように、こうした体のだるさや、心の不調、そしてお腹の症状は、目には見えない「自律神経の乱れ」が原因かもしれません。

消化器専門医として、多くの患者さんと接する中で感じるのは、これらの不調が単体で起こることは少なく、互いに影響し合っているということです。この記事では、なぜ休んでも疲れが取れないのか、自律神経とは何か、そしてどのように整えれば良いのかを、そのメカニズムから根本的にご理解いただけるよう、私の専門的な知識と臨床経験に基づき、平易な言葉で解説していきます。

その不調、根本原因は「自律神経の乱れ」と「脳腸相関」にあります

結論からお伝えします。あなたが抱える「休んでも疲れが取れない」「ONとOFFの切り替えが苦手」といった心身の不調、そしてお腹の不調の根本的な原因は、「自律神経の乱れ」と、その背景にある「脳腸相関(のうちょうそうかん)」に深く関わっています。

自律神経は、私たちの意思とは関係なく、体のあらゆる機能を調整する神経のことです。活動時に優位になる「交感神経」と、休息時に優位になる「副交感神経」の2つがあり、このバランスが適切に保たれることで、心臓の動き、呼吸、体温調整、そして消化器の働きなどがスムーズに行われます。

そして、医学的には脳腸相関(のうちょうそうかん)(参考:「ストレスで腹痛」は気のせいじゃない!脳と腸の深い関係)という概念が重要であるとされています。これは、脳と腸がまるで会話するように、密接に連携し合っていることを意味します。ストレスなどの心理的要因が脳に影響を与えると、それが腸の運動や知覚にも影響を及ぼし、お腹の症状を引き起こすことがあります。逆に、腸の状態が悪くなると、それが脳にも伝わり、精神的な不調を引き起こすこともあります。

この脳腸相関に深く関わるのが自律神経です。ストレスや不規則な生活が続くと、自律神経のバランスが崩れ、交感神経が優位になりすぎたり、副交感神経が十分に働かなかったりします。

ストレスと自律神経が心身に及ぼす影響

自律神経の乱れ、そして脳腸相関の変調は、私たちの心身に様々な影響を及ぼします。

まず、消化器症状として、過敏性腸症候群(IBS)(参考:【医師監修】IBSセルフチェック|下痢・便秘・混合型のタイプを診断)や機能性ディスペプシア(FD)といった病態に繋がりやすくなります。IBSでは、ストレスを感じた時に腹痛や便通異常が悪化することが報告されており、FD患者さんにおいても心理的要因が症状と関連していることが示されています。自律神経の乱れは、消化管の運動を過敏にしたり、逆に低下させたり、また内臓の知覚を過敏にすることで、腹痛や胃もたれ、早期満腹感といった症状を引き起こすのです。

次に、全身の不調です。IBSの患者さんでは、倦怠感や筋肉痛といった消化管以外の症状も訴えることが多く、FD患者さんでは、QOL(生活の質)が低下していることが知られています。しっかり休んだはずなのに疲れが取れない、といった「疲労感」も、自律神経の乱れによるものです。

さらに、精神的な症状も密接に関連しています。IBSの患者さんの半数以上が、不安や抑うつといった精神疾患の診断基準を満たすという報告もあります。これは、精神状態がIBSの発症に深く関わっていることを示唆しています。FD患者さんでも、不安や抑うつ傾向が強いほど治療抵抗性となるケースがあることが報告されています。

私の臨床経験上、自律神経のバランスが崩れると、心身両面にわたって不調が生じ、悪循環に陥りやすいと感じています。

明日からできる!自律神経を整えるセルフケアと心がけ

では、この大切な自律神経のバランスを整え、心身の不調を改善するために、明日から何ができるでしょうか。専門医として、皆さんにぜひ試していただきたいセルフケアと心がけをいくつかご紹介します。

食事と食習慣の見直し

IBSの方:

脂質、カフェイン類、香辛料を多く含む食品は症状を誘発しやすいとされていますので、控えることをお勧めします(参考:IBSの人が避けるべき食べ物・飲み物ワースト5)。また、乳糖不耐症の傾向がある方は、ミルクや乳製品の摂取で下痢が誘発される可能性がありますので、注意が必要です。

FDの方:

高脂肪食は吐き気や腹痛を誘発しやすいと報告されています。不規則な食事パターン、早食い、夜間の脂肪摂取なども症状を誘発する傾向にありますので、規則正しく、よく噛んで、少量ずつ複数回に分けて摂ることを心がけましょう。

適度な運動を取り入れる

運動はIBSの症状改善に有用であると報告されています(参考:IBS改善におすすめの運動3選(ウォーキング・ヨガ・ストレッチ)とその理由)。FD患者さんでも運動頻度が低い傾向があるため、ウォーキングやヨガ、エアロビクスなど、ご自身の体調に合わせた適度な運動を、専門のスタッフの助言のもとで継続することをお勧めします。運動は消化管症状だけでなく、疲労感の軽減にも繋がることが期待できます。

https://reliecho.com/ibs-recommended-exercise

質の良い睡眠を意識する

IBSやFDの患者さんでは、睡眠障害が認められる傾向が高いことが報告されています。睡眠を直接的に改善することによる消化器症状への明確なエビデンスはまだ十分ではありませんが、心身の回復には質の良い睡眠が不可欠です。就寝前にリラックスする時間を作る、寝室環境を整えるなど、工夫を凝らしてみましょう。

心身へのアプローチ

心理療法:

IBSには認知行動療法や催眠療法、リラクセーションなどが有用であると報告されており(参考:思考のクセを整える。「マインドフルネス・認知行動療法」おすすめアプリ3選)、FDにも同様に効果が期待できます。専門的な心理療法は実施が難しい場合もありますが、医師との良好な関係を築き、話をよく聞いてもらう「簡易精神療法」(傾聴、受容、支持、保証)も治療の一環として有効です。

ストレス管理:

ストレスは自律神経の乱れ、ひいてはお腹の症状を悪化させる大きな要因です。ストレスマネジメントとして、ご自身に合ったリフレッシュ法を見つけることや、ストレスに対する考え方を修正することも大切です。

https://reliecho.com/stress-coping-techniques

一人で抱え込まず、専門医に相談を

症状が長引いたり、日常生活に支障をきたすようであれば、消化器専門医に相談してください。自律神経の乱れによるお腹の不調は、適切な診断と、薬物療法や生活習慣の改善を組み合わせた多角的な治療で改善が期待できます。特に、IBS患者さんの中には抑うつや不安を併発し、自殺行為に及ぶ率が高いとの報告もあり(参考:「もうダメだ」と感じた時の、心の緊急避難場所リスト)、高頻度で医療機関を受診するケースでは心理社会的な問題が深く関係していることが示唆されています。放置せず、良好な患者-医師関係を築き(参考:良いお医者さん・クリニックの見分け方 5つのチェックポイント)、継続して診療を受けることが何よりも重要です。

まとめ:心と体のバランスを整え、疲れにくい毎日へ

  • 休んでも疲れが取れない、ONとOFFの切り替えが苦手といった心身の不調は、自律神経の乱れと脳腸相関が深く関わっています。
  • 自律神経の乱れは、腹痛や便通異常、胃もたれといった消化器症状だけでなく、倦怠感や不安、抑うつなどの全身症状や精神症状も引き起こす可能性があります。
  • この悪循環を断ち切るためには、食事や運動、睡眠といった生活習慣の改善が重要です。
  • ご自身に合った心身へのアプローチ(心理療法、ストレス管理など)を取り入れることも、症状の緩和に繋がります。
  • 一人で悩まず、消化器専門医に相談し、適切な治療とサポートを受けることが、健康な体を取り戻すための第一歩です。

あなたの心と体の声に耳を傾け、今日からできる一歩を踏み出してみませんか。私たちは消化器専門医として、皆さんが健康な毎日を取り戻せるよう、全力でサポートいたします。

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