女性特有の悩み

IBS持ちの妊娠・妊活。知っておきたい注意点と薬の影響

妊娠・妊活中のIBS、薬と症状の不安

妊娠や妊活を考えているIBS(過敏性腸症候群)をお持ちのあなた。お腹の不調を抱えながらの妊娠に「本当に大丈夫かな?」「飲んでいる薬は続けてもいいの?」「妊娠中に症状が悪化したらどうしよう」といった不安を感じるのは当然のことですよね。消化器内科医として、私は多くの患者さんがこのような悩みを抱えていることを知っています。この記事では、IBSと妊娠・妊活における注意点や、薬の影響について、そのメカニズムから根本的に理解できるよう、詳しくお伝えしていきます。

IBSと妊娠・妊活:ストレスと薬の管理が鍵

IBSは、その病態に(参考:「脳腸相関(のうちょうそうかん)」)と呼ばれる脳と腸の密接な関係が深く関与しており、ストレスや心理的要因によって症状が大きく左右されます。

妊娠・妊活中は、身体的変化だけでなく、精神的なストレスも大きいため、IBSの症状が変動したり、悪化したりする可能性があります。また、現在服用中の薬剤については、赤ちゃんへの影響を考慮し、専門医との綿密な相談が不可欠です。

なぜ妊娠・妊活中にIBS症状が変動しやすいのか?

過敏性腸症候群(IBS)は、器質的な病気(例えば炎症や潰瘍など)がないにもかかわらず、腹痛やお腹の不快感、便秘や下痢といった便通異常が続く病気です。この病気の中核にあるのが、脳腸相関という概念です。これは、脳と腸が神経系、内分泌系、免疫系などを介して常に情報交換を行い、互いに影響し合っていることを指します。IBSの患者さんでは、この脳腸相関の機能が過敏になっていると考えられています。

ストレスがIBSの症状に大きく影響することは、医学的にも証明されています。(参考:今日からできるストレスコーピング実践テクニック10選)IBSの患者さんでは、ストレスを感じた時に消化器症状が悪化する傾向が、健康な方よりも高いとされています。人生の早期に受けた外傷的ストレスがIBSのリスクを高めるという報告もあり、ストレスが病態に深く関わることが示唆されています。例えば、検査室においてIBS患者さんに心理社会的ストレスを負荷すると、大腸の運動が亢進したり、脳の中枢神経が過敏に反応したりすることが分かっています。また、IBSの病態には、不安やうつといった心理的異常も深く関わっており、症状が重くなるにつれて、これらの心理的異常の関与も増すことが分かっています。日本の診療ガイドラインでは(参考:女性の方がIBSの有病率が高い)という報告も示されており、性差も病態に関与する可能性が指摘されています。今回の情報源には、妊娠そのものがIBSに直接影響を与える具体的なメカニズムは記載されていませんが、妊娠や妊活というライフイベントは、心身に大きな変化とストレスをもたらすため、この脳腸相関を介してIBSの症状に影響を与える可能性があると考えられます。

IBS症状が妊娠中に体に及ぼす影響

妊娠中、IBSの症状が悪化した場合、以下のような影響が考えられます。

  • 身体的負担の増加: 腹痛、下痢、便秘といったIBS症状は、妊娠に伴う吐き気、疲労感、消化器症状(例えば、胃食道逆流症など)と重なることで、あなたの身体的負担をさらに増大させる可能性があります。IBS患者さんのQOL(生活の質)は著しく低下することが知られており(参考:IBSの治療期間はどれくらい?ゴールが見えない不安を解消します)、症状の悪化は日常生活の質をさらに損なうことにつながりかねません。
  • 精神的ストレスの増幅: IBSの症状悪化は、不安やうつといった心理的異常と関連が深いとされています。妊娠中の精神的な安定は、母体と胎児双方の健康にとって非常に重要です。IBS症状による不快感が、この時期特有の精神的ストレスを増幅させ、不安感を高める可能性も考えられます。IBS患者さんでは、うつ病性障害や不安障害がIBS発症のリスク要因になることが示されています。(参考:「もうダメだ」と感じた時の、心の緊急避難場所リスト)

薬の影響について

今回の情報源には、IBSの治療薬が妊娠中にどのような影響を及ぼすかについての具体的な記載はありません。IBSの治療には、消化管運動機能調節薬、高分子重合体、プロバイオティクス、5-HT3拮抗薬、粘膜上皮機能変容薬、止痢薬、抗コリン薬、漢方薬、抗うつ薬、抗不安薬、抗菌薬など、多岐にわたる薬剤が用いられます。

https://reliecho.com/ibs-medication-summary

私の臨床経験上、妊娠中の薬の服用は、特に注意を要するデリケートな問題です。 赤ちゃんへの安全性を最優先するため、IBSの治療で現在服用されている薬剤がある場合は、妊娠を希望する段階、または妊娠が判明した時点で、必ずかかりつけの医師や産婦人科医に相談してください。

自己判断での服薬中止や減量は、症状の急激な悪化につながる可能性があり、避けるべきです。(参考:IBSは治らない?消化器専門医が教える絶望しないための全知識)医師は、IBSの重症度、あなたの健康状態、そして胎児への安全性を総合的に考慮し、最適な治療計画を提案してくれます。場合によっては、妊娠中も比較的安全に使用できる薬剤への切り替えや、薬物療法以外の治療法(例えば、食事療法や心理療法など)を優先することもあります。

明日からできること:不安を和らげるセルフケア

IBSと妊娠・妊活にまつわる不安を軽減し、より安心して過ごすために、あなたに明日から実践できることをいくつか提案します。

医師との積極的なコミュニケーション

  • 妊活を始める前、または妊娠が判明したらすぐに、必ずかかりつけの消化器内科医と産婦人科医に相談しましょう。 現在のIBSの症状や、服用中の薬剤について正確に伝え、今後の治療方針や薬の調整について話し合うことが最も重要です。
  • 信頼できる医師との良好な関係を築くことは、IBSの治療において非常に有用であるとされています。(参考:良いお医者さん・クリニックの見分け方 5つのチェックポイント)不安なこと、疑問に思うことは、どんなに些細なことでも遠慮なく質問してください。

食事と生活習慣の見直し

  • ストレス管理: ストレスはIBS症状を悪化させる主要な要因です。妊娠・妊活中は、リラクセーション法(弛緩法)や簡易精神療法(ストレスマネジメントなど)がセルフケアとして有効な場合があります。(参考:今日からできるストレスコーピング実践テクニック10選)深呼吸、軽い瞑想、趣味の時間を持つなど、あなたに合ったリラックス方法を見つけましょう。
  • 食事内容の調整: 脂肪の多い食品、カフェイン類、香辛料などはIBS症状を誘発しやすいと報告されています。これらの食品を控えることは症状の軽減につながる可能性があります。乳糖不耐症がある場合は、乳製品の摂取を制限することも有効です。国際的には、FODMAP(発酵性の糖類)を多く含む食品を避ける「低FODMAP食」が注目されています。(参考:【初心者向け】低FODMAP(フォドマップ)食事法とは?やり方を3ステップで解説)あなた自身の体調と相談しながら、症状が悪化しやすい食品を避けてみてください。
https://reliecho.com/ibs-foods-to-avoid

まとめ:IBSと向き合い、安心して妊娠・妊活を進めるために

IBSをお持ちの方が妊娠・妊活を進めるにあたり、大切なポイントをまとめます。

  • IBSの症状は、妊娠・妊活に伴う身体的・精神的ストレスによって悪化する可能性があります。
  • 現在服用中のIBS治療薬については、必ずかかりつけ医と産婦人科医に相談し、安全性を確認することが最も重要です。
  • ストレス管理、食事内容の調整、適度な運動、十分な睡眠といったセルフケアは、症状の緩和に役立つ可能性があります。
  • 専門医と良好な関係を築き、あなたの状態について積極的に情報共有することで、安心して妊娠・妊活を進めることができるでしょう。

IBSの症状は変動することがありますが(参考:IBSの治療期間)、適切な知識とケアによって、あなたの妊娠・妊活は確実に前向きに進められます。不安な時は一人で抱え込まず、私たち専門家にご相談ください。

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